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Like The Floating Moon pt.2

音楽レビュー、読んだ本、ひとりごと。記事を書く時の「冗長さ」と書かない時の「やる気の無さ」の落差が非常に激しいブログです。

King Crimson - Three of a Perfect Pair

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最近はKing Crimsonをよく聴いてます。とりわけその中でも、80年代のいわゆる「Dicipline3部作」が好きになってきました。
80年代のキングクリムゾンはかつて彼らが持っていたロマンティシズムやメタリックな重さを排し、ミニマムなポリリズムや音響的な効果、そしてポップなメロディーの追求を進めていきました。ある意味で現在のアンビエントやポストロックやマスロックといったジャンルを先取りした音楽とも言えるかもしれません。

そんな彼らの「Dicipline3部作」の中で最もポップで、また最も尖っているのが、3部作の最後を飾るこの「Three of a Perfect Pair」(1984年)だと思います。

前半部(#1~#4)ではクリムゾン史上最もポップとも言える歌モノ路線の曲が続きます。Dicipline時代を象徴するメンバー、エイドリアン・ブリュー(Gt)の本領発揮といったところでしょうか。
ただやはりそこはクリムゾン。ポップというだけではなく、浮遊感があり相当にひねくれたメロディーが印象的です。#4「Man With A Open Heart」のイントロの歌を初めて聴いたときは「なんか不思議でクセになるメロディーだなぁ」と思いました。#2「Model Man」のサビなんかは70年代のようなメロウさもありますね。

そして後半(#5~#9)。このアルバムを聴き始めた当初はこの「無機質・硬質・難解」な音楽がどうも理解できませんでした。(こういう80年代ニューウェーブに特徴的な硬質な感じが苦手だったのが一因だと思います。)
でも、色々な音楽に浅く広くですが触れていった現在だと、むしろこの前衛的な感覚が癖になってきます。むしろここからがこのアルバムの醍醐味と言っていいでしょう。

#5「Nuages」での幻想的なアンビエントから、ロボットで制御された巨大な無人工場のような緻密さを感じさせるインダストリアル曲#6「Industry」、そしてなだれ込むように#7「Dig Me」に至る流れなんか最高です。
特に「Dig Me」。奇妙に捻れたテーマが繰り返されるフリージャズ的なパートと、サビの突き抜けるようなポップ感の対比が凄くかっこいい。ブルーフォードのドラムの乱れ打ちとそれに応酬する他楽器の演奏がとにかく巧いですね。

 (因みに、最近「Bill Bruford」はカタカナ表記で「ブラッフォード」ではなく「ブルーフォード」って表記することに初めて気付きました。こういうのややこしいですね…w)

70年代のクリムゾン(特に「太陽と戦慄」以降)は、「インプロでは敵なし」と言えるほどの超絶的バンドでしたが、80年代も負けてませんね。むしろ先進性という面ではさらに進化しているのでは、とも思います。殆ど古さを感じさせません。

そして最後の#9「Lark's Tongue in Aspic Part III」。あの傑作「太陽と戦慄」のパート3です。単体で聴くとそこかしこに70年代のクリムゾンのようなフィーリングがあって悪くない曲なんですが、さすがにあの得体の知れない凄みや迫力を湛えていたパート1や2に比べると分が悪いです。妙にあっさりしてますね。
(この曲も、ライブ盤「Abscent Lovers」に収録されたバージョンだと結構メタリックで迫力ある演奏に化けます。そっちのバージョンは結構好きなんですが…)

「Three of A Perfect Pair」。このバンドのポップな「オモテ」とアヴァンギャルドな「ウラ」を手っとり早く体験でき、まさに80年代クリムゾンの集大成とも言える内容です。個人的には同時代のYMOのアルバム「テクノデリック」あたりに通じる感じも受けます。

アンビエントクラウトロックが好きな方にはこの前の作品「Beat」もオススメです。この作品とはまた違って、このバンドのミニマムな側面を味わえます。

 


King Crimson - Man with an Open Heart - YouTube